不妊治療に関するQ&A 不妊治療のQ&A 体外受精(IVF)・顕微授精(ICSI)編


体外受精(IVF)は、タイミング指導、AIHなどを経てステップアップで 治療が進んできたケースもあれば、最初から体外受精 (卵管閉塞や乏精子症などから)が選択されるケースもあります。
 体外受精は、排卵誘発剤などを使って卵子をとり、体外で受精卵(胚)を つくり、子宮へ移植する方法です。
 受精の方法には、培養容器内で 卵子と精子をあわせ受精させる方法(媒精)と卵子に直接1匹の精子を 細いガラス管を使用して注入し受精させる方法 (細胞質内精子注入法(ICSI))があります。



 
 注意すべきものは、排卵誘発の結果起こる、卵巣過剰刺激症候群と静脈血栓です。前者は放っておくと脳梗塞や心筋梗塞を起こす場合もあります。

 専門のドクターのもとで治療をしてください。現在では超音波検査や血液検査で事前に対処することができますし、薬の選択が広がって、排卵誘発できます。

 静脈血栓は妊娠時に非常によくできるもので、薬の副作用では頻度は少ないものです。血栓で怖いのは脳卒中や心筋梗塞などの動脈血栓であって、静脈血栓ではありません。

 その他、排卵誘発すると閉経が早まる、卵巣ガンが多くなるなどの声がありますが、そういう報告や証拠は現在はありません。


 本来膣内に射精される精子を採取して、人工的に子宮に注入し体内受精を促す方法を人工授精といいます。
 それに対して、体外受精と顕微授精は本来体の中で起こる受精現象を、人工的に体外で起こさせるものです。人工授精までは、精子と卵子の出会いを助けるだけですが、体外受精と顕微授精は卵子と精子を取り出して受精卵までつくってしまいます。
 一般に体外受精と呼んでいるのは媒精という方法で、採ってきた卵に精子をふりかけて、精子が自然と入っていくのを待ちます。そして受精卵ができて順調に分割したら、子宮に戻します。体外受精は、卵1個に対して10万から20万匹の動いている精子が必要です。
 顕微授精も正確には体外受精の一手法ですが、体外受精とは別に独立して呼ばれるようになっています。その違いは受精のさせ方です。
 顕微授精はその名の通り、顕微鏡下で卵の中に精子を1匹ピペットという細いガラス管で捕まえて注入し、受精卵が出来た後は、体外受精と同様に培養して子宮に戻してやります。
 顕微授精では、体外受精でクリアできなかった受精障害をはじめ、卵1個に対して精子1匹あればいいので、男性不妊の障害もかなりクリアできます。

 診察でエコー画像で見ているのは、卵巣の中の「卵胞」の数と大きさです。「卵胞」を満たしている「卵胞液」のなかに卵子はありますが、顕微鏡下で確認しないとわからないぐらい小さいので、診察時のエコー画像で卵子を直接確認することはできません。
 卵胞だけが育って卵子が入っていなかったり、まだ卵胞が未熟で卵胞壁から卵子が剥がれ落ちなかったりすると、実際の採卵数は卵胞数より減ります。また卵胞の陰にもう1つ卵胞が重なっていたり、採卵までの間に卵胞が育ってきたりすると、採卵数は卵胞数よりも増えます。エコーで見える卵胞数は目安にすぎないのです。
 また卵胞の大きさで卵子の成熟度を測りますが、これも大体の目安です。人間の体は千差万 別、なかなか「確実」に「数値化」することは難しいのです。

 卵子は、受精卵→分割卵→桑実胚→胚盤胞と育っていきます。
 1個の細胞である受精卵→分割していくつかの細胞になる分割卵→細胞がくっついて、細胞の区分けがなくなった桑実胚→袋状となり、赤ちゃんになる細胞と、胎盤になる細胞が分かれる胚盤胞と育っていくのです。
 また胚盤胞が透明帯という卵子の殻から出ることを「ハッチング(孵化)」と言います。ハッチングした胚盤胞は子宮内膜に着床して胎芽→胎児へと育っていきます。

 胎児が1人のことを「単胎」、双子や三つ子を「多胎」と言いますが、多胎児の7割強が低出生体重児でリスクは単胎児の10倍、死産率・周産期死亡率・乳児死亡率も単胎児の2~5倍あります。
 また、脳性まひや学習障害も多いとされていますが、これには家庭を取り巻く心理的・社会的要因が複雑に影響しています。育児不安・育児困難・抑うつ・小児虐待の増加も報告されています(虐待は単胎の10倍以上)。
 妊娠の可能性は増やしたいところですが、多胎の危険性も十二分に考慮しなくてはならないのです。

 採卵では体に針で刺しており、簡単な手術になるので、当日はできるだけゆっくりお過ごしください。病院から特に症状説明がなければ、翌日から運動など普通どおり生活していただいて心配ありませんが、何か症状があれば安静にして頂き、おさまらなければすぐ担当の病院・クリニックまでご連絡してください。
 移植ではほとんど体を傷つけることはありません。器具を使用しているため、当日は感染症の心配から温泉やプール、岩盤浴は避けて下さい。それ以外では当日から普段通り生活して頂いて大丈夫です。
 しかし、お薬の影響や感染など、予期せぬ症状が出る場合もありますので、何か心配な症状が出たらすぐに担当の病院・クリニックまでご連絡してください。

 厚生労働省に直接投書するのが良いと思います。現在、私が個人輸入している薬が、どうして早く日本で発売にならないかと聞いたら、厚労省のお役人から「患者様からの要望が出ていない」と返答されたことがありました。お役人さんは医師や製薬会社の要望より、患者様の投書を恐れています。
 保険適用には難しい問題があります。肝心の保険制度が破たんしています。今の保険制度は保険支払を減らすことばかり考えています。すなわち、患者様を一生懸命治療し、保険の支払が多くなる医者は悪い医者となります
 保険の支払側にとって「よい医者」は人気もなく、患者様も少なく、何もしない医者です。不妊治療なら「そのうち自然にできますよ」と言って、漢方薬や内服ぐらいでいつまでも時間を潰し、患者様も妊娠できる機会をなくしてしまう医者です。
 私は、そういう方針をとっていません。妊娠という結果にこだわっていますので、まず効果のはっきりしない割に高価な漢方薬はやめています。
 今の保険制度をひと言で言うと、すでにどうにもならなくなっている制度と言えると思います。今の全国どこでも同じ医療が受けられるという発想自体、間違いです、ドクターひとりひとり能力も技術も専門も違うのに、全部を低いレベルで統一すべき、よくできる医者は認めない、やる気のある医者は迷惑だという発想です。
 私が何よりも保険に望むことは、不妊治療というより、当たり前のことに当たり前の保険点数をつけて欲しいということです。
 産婦人科は内診台を使い、消毒したピンセット・綿球等を使い、手袋をして看護師がついて診察しても保険点数は0点です。信じてもらえない話ですが本当です。
 内診すれば(普通に診察したら)赤字がどんどん膨らむ。ボランティアどころか損をする仕組みです。ただ、処置を行えば点数がつきますが、超音波を診るのも月1回までとなっています。
 高度医療という前に、聴診器のみの内科医とは違うので、使用している材料代だけでも保険は出すべきと思います。
 もう一つ、私がいくら長い時間説明しても不妊症の指導料は、まったくありません。内科の先生は高血圧の薬を出して「塩分に気をつけて」と言うくらいで何千円も保険から指導料が出ているのをご存知でしょうか。内診だけで、不妊症の説明をして0円の治療が、今の保険制度です。ですから、こういう現状を今の若い医者はよく見ています。働くのに一番割りの合わないのは産婦人科と思うのは当然です。
 それで産婦人科医は、どんどん減っています。一方、眼科は儲かるということで、どんどん増えています。こういう保険制度、これを改革せず内科の利権ばかりを守る医師会。保険適用を考える以前の問題です。
  私は、ART(高度生殖医療)は保険とは別に当分、補助金(特定不妊治療費助成金や自治体の独自の助成制度など)の拡充でいったほうがよいと思います。その前に当たり前の医療行為に当たり前の保険点数で、産婦人科を立て直すべきと思います。

 「いつまで治療をつづけるのか」「いつ治療をやめるか」については私の最大の悩みです。
 「治療を続けたほうが親切なのか」「治療をやめるように言ったほうが親切なのか」いつも悩むところです。
 米国学会の一つの目安として、「予想される妊娠率が5%を切ったらやめたほうがよい。1%以下ならやってはいけない」というのがありました。現在、当クリニックの普通の体外受精がもうできない人のクロミッド採卵の移植あたりの妊娠率は10%を越えています。
 どの条件になったら5%以下になるのかいろいろ探っていますが、いい目安はありません。【ちなみに全年齢(40歳以上も含めて)体外受精全体で1周期あたり40%以上の方が妊娠反応陽性になっています」
 一度カウンセラーに相談され、じっくりご自分の希望を整理し、それから私のところへ相談することをお勧めします。

 きれいな卵ができて内膜がいいのは、妊娠のための前提条件のようなもので、それらがよくても妊娠しない場合があるのが体外受精です。
 私はやはり受精卵の生命力が弱いか、あるいはどこかの時点で異常が生じ、結局育たなかったと思います。日夜どうして妊娠しないのか、私は毎日考えています。卵の質は大切です。卵の質をよくする事は、今のところできません。
 精子は、元気がなくても関係ありません。精巣精子でも、もっと未熟な精子でも、数年前に凍結された不動精子でも私は使っていますし、出産しています。

 お乳が出る事は、IVFと関係なくともたまにある事です。
 プロラクチンが高い人は、お乳が出ます。受精卵を戻すのは1ヶ月あけてもあけなくてもよいと思います。注射の周期は、2~3ヶ月ぐらいあけた方がよいと思いますが。

 一般的にIVFのあとの周期は、生理が来にくいものです。黄体ホルモンを使って来させた方がよいと思います。

 子宮内膜を厚くして、治療したあとの生理は量も痛みも普段より強くなる傾向にあります。その後の生理は、順調な人と遅れる人がいます。特に異常ではありません。心配はいりません。

 注射を打たない月を、間に2~3ヶ月はさみます。ロング法ならスプレキュアの開始はその2ヶ月、3ヶ月の間に、注射の打ちはじめまでが2ヶ月または3ヶ月あける事になります。

 採卵後1週間ぐらいから腹水は減少し、10~12日目以降で妊娠していたら、一時的に卵巣の腫れや腹水がひどくなるのが一般的です。妊娠反応直前にひいたならおそらくダメでしょう。
 しかし、これは一般論ですので、あなたにあてはまるかどうかわかりませんし、何よりも私があなたの卵巣や卵を全くみていないので、コメントできません。妊娠できそうか、そうでないかは卵を見ているドクターが一番よくわかっているはずです。

 現在はほとんどの市販品は感度がよく、なかには当院のものよりも感度がいいものもあります。

 基本的に腔座薬で十分なのですが、液体(ホルモンを溶かしている油脂)が流れたりしてやや不安定なので、念のため黄体ホルモンも飲んでもらっています。どうしてもダメならやめても結構です。
 乳白色の液体は、今言ったように溶けて流れ出たものです。ある程度溶けてもいいように作ってありますので、気にしなくてもよいですが、なるべく腔内に奥深く入れて下さい。

 血行が良くなるような運動はよいと思います。しかし、低酸素になるような激しい運動、腹筋を強く使い腹圧が加わるような運動は避けたほうがよいかも知れません(キックボクシング・武道・格闘技など)。

 出血はカテーテルを入れる時に生じたもので子宮の頚管からですので、2~3日続きますが心配ありませんし、妊娠の結果にも影響ありません。

 夫婦生活ですぐ流産することはありません。
 しかし、SEXはばい菌が腔内に入り感染が起こる可能性があり、子宮の感染が起こると必ず流産します。したがって清潔を保つため、夫婦生活はなるべく避けて下さいということに変更いたしました。
 精液は通常無菌でなく必ず菌がいます。胚移植時には、子宮頚管粘液を一度除去していますので、子宮内へ菌が通常より入りやすいかもしれません。
 SEXの興奮時には子宮が収縮するといわれています。子宮の収縮は血流を悪くし、さらに移植胚を排出する可能性もあります。

 凍結の戻し方は、大きく分けて2通りあります。
 自然排卵にあわせて戻す時は、流産後は排卵しにくくなるので結果的にちょっとあける事になるかもしれません。ホルモン調整で排卵させないやり方ならば関係ありません。

 もともと妊娠できない卵の多くが染色体異常と言われています。何か障害があれば、ほとんど胚は成長しません。ということは妊娠しないと言えるかと思います。

 母乳を出しているうちは、排卵しにくくなっています。生理があれば生理の2日目に受診して下さい。

 凍結卵の鮮度はかわりません。1年過ぎると更新の保存料が必要になります。生理がこなくても内膜調整法による融解胚移植は可能です。

 半分だけ融解というのは無理ですが、良すぎる場合は1~2個移植したのち、残りの胚が胚盤胞まで成長すれば(滅多にありませんが)その時点で再凍結します。

 ホルモン検査は、融解胚移植では、基本的に私は行いません。このプロトコールはすでに7年目に入ります。今まで多数の方がこのプロトコールで妊娠されています。おそらく融解胚移植では日本でも1、2番の数と思います。
 私の治療は、日々進化しています。妊娠できるかどうかは、一定条件下の子宮内で育つ、元気な受精卵ができたかどうかにかかっています。また、個人差が大きく、友人がそれで妊娠したから自分も、と考えることは賢明ではありません。自分の目でドクターやクリニックを見て、自分にあったところで治療していただければよいと思います。
 インターネット・雑誌等、私も知らないようなドクターが専門家として出演してたり、いい加減な宣伝まがいのデータ、洗脳するような理論(医学的根拠のない)が横行するようになりました。自分の目で確かめながらクリニックを見比べて受診して下さい。
 私自身は、いろいろなところを経験された方が逆によくわかってよいと思います。1~2ヶ所回ってから私のところへ来た人のほうが、当クリニックの良さをよりわかっていただけるようにも思います。
 宣伝に惑わされず、自分で逆に医者やクリニックの実力を見る目を養って下さい。

 1本のストローに複数、通常4~5個はいっていますので1本解かし、同時に培養し、そのうちから選んで胚移植を行います。

 体外受精周期では卵胞ホルモン(E2)が高くなります。それが着床を妨げるひとつの要因という考えがあります。したがってE2が高い場合は凍結の方が妊娠率が高いと思います。しかし2~3倍高くなるわけでなく、わずかに高いと考えて下さい。
 また、黄体ホルモン(P4)が早期上昇して子宮内膜の変化が早くおこると着床率が悪くなります。したがって1回採卵して凍結できれば、その周期と凍結でチャンスは2倍になると思います。卵が少なく、なかなか凍結できない人で、妊娠できない人は最近全凍結もしています。

 着床の条件なら凍結卵が良いと思います。凍結障害がなければ凍結の方が妊娠しやすいと思います。
 しかし、余剰卵凍結でなく前核期凍結、あるいは胚盤胞凍結でなければ、かえって卵にダメージがでます。  施設により違いますので、そこの成績を聞いて決定して下さい。


 問題ないと思います。すぐ起き上がって動いても着床率は変らないというデータもあります。

 着床時の子宮内は、ふわふわの綿にべたべたの粘液がしみたようになっていますので、繊維に絡まるかんじです。
 漂っていることはありません。培養液と一緒に入った卵が綿にからまるようになるには、少し時間がかかるかなといった程度で1時間ならよくて30分ならダメ、ということではありません。
 基本的に安静時間は妊娠率向上のためには、全く必要無いと思っています。

 5日目で胚盤胞になれば、もともと着床率は非常に高いものです。当院ではほとんど全例にAHをしていますので、あまり除去する意味はないと思っています。

 2日目の移植では4分割、3日目の移植では8分割が良い胚です、分割が遅い場合、妊娠する率は低くなります。
 しかし、分割だけでなくフラグメーションも重要な要因です。

 移植日を変えただけで妊娠率は上がりません。よい卵の選別は、長く培養するとしやすくなります。
 要は卵のグレードです。卵の生命力・元気さですべて決まってしまいます。
 何日目に戻そうと元気のない卵が元気になる事はありません。
 また、お母さんがどれだけ安静にしても妊娠率は上がりませんし、流産率を下げる事はできません。あくまで。"卵が主役"です。

 卵の質は割球の大小とフラグメーションの%、発育の速度です。当院では卵のビデオをみていただいて説明しています、

 受精卵が1個しかなければ妊娠率は低いのですが、良い卵なら妊娠する事も可能と思います。
 私なら、凍結し複数個にして移植したいと思います。現在、卵のグレードはいろいろあります。
 Veeckが作った分類が最も有名ですが、それ以外にも私は名大でVeeckとは全く逆のscoringのグレードも使用していますので、一概に1がよく4が悪いとは言えません。
 私はいつもビデオで卵をみせて説明していますので、患者さんは何点というより、自分で「これはいいですね」とわかります。要はあなたが不信感をいだくような結果と説明に問題があったと思います。
 本来なら主治医に徹底的に聞いて納得すべきではないでしょうか?

 グレードというのは、ひとつの目安であり、各施設で採用しているグレードが違います。妊娠しそうかどうかは、卵をみているあなたの主治医が一番よくわかっているはずです。卵をみていない私にはコメントできません。
 卵の扱い、培養方法、ラボのレベルは大きな差があります。妊娠率も大きな差があります。あなたが、あなたの主治医にその施設では、これぐらいの卵での妊娠率はどれくらいですか?と尋ねて下さい。
 ちなみに、当院での周期あたりの妊娠率を大雑把にいうと、良い卵なら約55%、普通なら約35%、悪い卵なら15%と大きな差はありますが、逆に良ければ100%、悪ければ0%でもありません。

 受精率が悪すぎます。通常の媒精で受精率が悪いことはよくあります(受精障害)が、顕微授精では7~8割受精しなければいけません。よほど卵が悪く、すぐ死んでしまうような事や、特別の事がなければ、8分の1という事はありません。 別のところで治療し、比較することをお勧めします。

 私のデータでは、ICSIでは70%以上受精し、受精卵の90%ぐらいが卵割します。小さな泡というのはvesicle(小胞)でしょうか?よくわかりませんが、vesicleだらけになるという卵もあります。原因はわかりません。
 多分私は、千人近くの患者さんに自分の手でICSIをしています。すなわち1万個以上はICSIをしていると思いますが、11個の卵がすべて卵割しない、という例はありませんでした。
 どこでやられたかわかりませんが、卵が特別悪い場合か、ICSIのテクニックが悪いかのどちらかではないでしょうか?同じところで同じことが起こっても前へ進みません。
 しっかり説明してもらえるICSI専門のドクターのところへか代わった方がよいと思います。

 もちろん1種類ではありません。受精卵の成長に伴って変えていきます。培養液も現在いろいろあります。当院では、1社だけでなく、数社の培養液を比較しながら使っています。
 ひとりの方に対して採れた卵を半分に分け、原則2種類の培養液で培養しています。ロット問の違いによる差が生じても、リスクを少なくするよう努めています。

 麻酔は非常に短時間ですので、ほとんど問題ないと思いますが、心配なら内科主治医と麻酔専門医と相談し、検討してはじめたいと思います。

 意識は完全になくなり、また覚醒がはやく、気持ちの悪くなりにくい麻酔を使っています。はじめての人は思ったより楽と言います。

 hCGの真の意味は、実は非常に難しいと思います。ごく簡単に大雑把に言うと、脳下垂体ホルモンのうちFSHで卵胞は育ち、LHで排卵のきっかけを作ります
 LHが排卵前に出ることをLHサージと言っています、LHサージから約36~40時間で排卵が起きます。
 体外受精ではその排卵する直前に卵を採ります。どうせ針で採るならLHサージなしで採ればよいとお考えと思いますが、LHサージの刺激で卵胞は破れ、卵子が飛び出すのですが、同時にホルモン的に大きな変化があり、卵子が最後の成熟卵になるための変化をします。LHサージがなければ卵は成熟せず、卵胞の壁にくっついたままで、ほとんど針を剌しても採れません
。LHはα鎖、β鎖と2つのチェーンでできています。α鎖は共通ですが、β鎖のC末端が少し長くなって、分解される時間が長くなったHCGの注射をLHサージのかわりとしています。

 子宮内膜症は、いろいろな場合があって一概にいえません。私は採卵しにくいとは思いませんが、チョコレート嚢腫があれば、あらかじめ吸引しておいた方が、卵の育ちもよく採卵しやすいと思っています。

 運動率3%なら、今回の結果は十分予想できたと思います。卵が23個もとれていますので、私なら半分は顕微、その上受精しなかった卵に対し、1 day old ICSIをして受精卵を確保し、少しでも妊娠に近づきたいと考えます。
 自然周期の採卵はやりますが、本当に特殊な場合(注射がきかなくて卵が刺激ではできない人)のみで、あなたのように卵が採れる人なら(ましてや2人目なら)普通にした方が、―回の妊娠率は数倍期待できます。あえて妊娠率が低い方で何回もやりたいというのならかまいませんが。
 またホルモン注射の乱用というのは、専門家は乱用しませんし、現在の質の良い注射剤で卵の質が悪くなるエビデンスはありません。普通の体外受精なら4回までで、妊娠できる人のほとんどは妊娠しています。

 ICSIを何回、というのは普通の採卵の場合で、いわゆるロング法とかショート法、あるいはGnRHアンタゴニストを使った刺激周期のことを言っています。
 通常の体外受精・ICSIでは、採卵4回までに、7割以上の方が妊娠します。クロミッド採卵は、通常の卵巣刺激ができなくなった患者様を対象に行っています。
 実際に卵が採れた方は50歳近くまでいますが、当院で妊娠した最高年齢は47歳です。(この方は出産まで至らずに流産されております。)
無事出産までされた方は45歳で妊娠し46歳で出産されたのが最高齢です。
 クロミッド採卵をする方のうち何割かは早発閉経気味で、年齢は更年期になっていなくても、生理はあがってしまいそうな人です。いわばクロミッド採卵は、崖っぷちでなんとか踏みとどまり、妊娠できる卵の出現を待つものです。どんな治療も成功の保証はありません。いつまで続けるかも決まっていません。医学的には妊娠できる卵が卵巣からなくなった時がやめる時と思うのですが、それがいつかはわかりません。
 患者様の自己判断では、治療をしたことで後悔する度合いが、治療をしないことで後悔する度合いを上回った時がやめる時と思います。つまり、自分の後悔が一番少ない形で終了していただきたいと思います。しかし、それもメータがついている訳ではないので、当事者も判らないと思います。

 1 注射は便利なところで打って下さい。次回、来院された時に紹介状を書きます。
 2 注射は普通9日間、場合により10日間や11日問になります。一般的に注射開始5日目、7日目、9日目の3回あるいは、5日目、8日目の2回で採卵を決めて、あとは採卵と移植と判定の3回が必要です。

 以前は体外受精を受けたい周期の前周期の高温期になってからでしたが、現在は前周期の生理3日目から前周期の準備に入ります。

 内膜調整での胚移植では排卵させません。排卵させずに外からのホルモンで妊娠を維持します。その月の自然妊娠はありません。

 前周期排卵を抑え、卵の発育を抑えた方が刺激周期で卵の成熟がより揃うと考えられています。もともと卵は80日ぐらいかかって育ちますので、1ヶ月の問題でなく、その前から考えて治療すべきと最近考えられるようになりました。

 初回でダメな人が2回目、3回目とやっていくわけで、妊娠しやすい人はすぐ妊娠できます。当院では顕微授精が多いのですが、採卵周期あたり35~40%の妊娠率を維持しています。良い時は40%を超えます。
 凍結も同様の成績です(凍結は1回移植してダメな人に対してですが、着床の条件がかわるので、むしろ妊娠率は良いと思います)。初回の人が半分以上妊娠しなければ、全体の40%は維持できません。
 1回採卵し、その回と凍結と2回移植できれば、かなりの人が1回の採卵で妊娠できます。

 抗精子抗体、強陽性の場合は私の経験では、はじめからICSIの方がよいと思います。不動化抗体が、卵や卵のまわりの細胞にも付着しているのでないかと思います(当然一生懸命きれいに洗いますが)。

 私は、患者さんの事で迷ったとき、どちらが親切か考えています。私が強くICSIを勧めたならconventional(ICSIでない方法で、卵子に精子をふりかける従来のやり方)であまり勝算がないためと思われます。何十万円かかけて受精障害で受精卵ができず、次の日に「残念でした」「妊娠のチャンスは今回全くありません」と私は平気で言えません。
 少なくとも現在の私の方針は、初回ではconventionalとICSIをひとりの患者さんに同時に行っています。受精障害が判明し、conventionalでひとつも受精卵ができなくても、ICSIでちゃんとその回の移植分の受精卵は確保したいと思っていますし、その方が私は親切と思っています。間違っているでしょうか?何十万も払っても全くチャンスがなく、受精障害の検査だけで終わって、納得できるのでしょうか?私なら治療ですから怒ります。
 受精障害は意外に多いと思います(約2割の方にみられます)。特に精子の数もちゃんとあるのに、人工授精で妊娠できなかった人々に多くみられます。「今回は受精卵ができませんでした」と患者さんに説明し、がっかりした顔を見るのは、私には耐えられません。できる限りのことをするという事で、今は初回の人に対しては両方で対処し、conventionalのみは原則として行っておりません。受精障害がなく、conventional希望ならいつでもお受けします。その方がICSIをやるよりもずっと楽ですから...。
 名大時代は、One day old ICSIといって受精障害のわかった採卵翌日に、1日遅れのICSIをしていた事もあります。これは何年も前に中部不妊学会で発表しましたが、受精率は変わりませんが、妊娠率は3分の1に落ちます。1日のずれで着床率は大きく変化します。しかし、当時はやってあげた方が親切だと思っていたので、行っていました。でも、現在のように両方行うほうが妊娠率も確保し、しかも受精障害もわかり、私にはより親切な方法と思えます。私はそもそも何回も体外受精を行うべきではないと思っています。
 その都度ベストでありたいと思っています。「1回入魂」です。受精しなかったらまた次の回でというのは、ある意味無責任だと思います。誰も無駄にお金や時間を使いたくありません。妊娠のチャンスをみすみすなくす事もないと思います。結果がでない治療はやがて消え行く治療法です。でも、最近はインターネットや雑誌でにわか勉強し、洗脳された患者さんたちに真のエビデンスを伝え、説得するのに少し疲れたところはあります。30分もかかって説得するより「本人がそう信じているのなら、それでよいではないか」という気にもなってきました。ベストな治療でなくても患者選択を第一とすべきか時々悩んでいます。
 何年も不妊治療を行っている間にだんだん独善的で、傲慢になってきたかもしれません。反省します。

 精子の量は、けっして少ないとは思いません。顕微授精は、卵と同じ数だけの運動精子がいれば十分です。
 顕微授精では、どんな精子でも70%以上の受精率が常識です。
 あまりに受精率が悪いので、顕微授精の技術レベルが臨床応用するまでにいたっていないと思われます。(先方には失礼ですが、私は顕微の専門家ですので、きびしい見方をします)

 大変大きいと思います。
 いろいろなレベルのいろいろな考えの先生がいて、いろいろなレベルの培養室・培養師を使って体外受精を行っています。体外受精・顕微授精というのは流派がいっぱいあり、出身大学、勉強してきたところなどバラバラで、そのクリニックのこだわりも違います。
 また、施設によってその設備の質も異なります。

 効率は悪いですが、―匹の精子でも可能です。

 不動精子でも可能ですが、成績がよくありませんので、できれば運動精子を手に入れたいと思います。

 現在生まれている赤ちゃんの65人に1人以上は、体外受精で妊娠した子です。女性にとっていろいろな不妊治療よりも何倍、何十倍も危険で体に悪いのは妊娠です。
 妊娠に比べたら治療は取るに足らないものです。あと数年もしないうちにあなたは排卵しなくなり、妊娠は不可能になります。
 卵巣の老化はどんどん進みます。一般的に35才から妊娠率は下がり、一般的に41~42才で妊娠不可能になります。もっと早く不可能になる人もいっぱいいます。

  ICSI(顕微授精)で受精率は確実に上がりますが、卵の質を上げる事はむずかしいです。

 私も簡易体外受精は行っています。年間、約300~400採卵ぐらい施行しています。しかし、当クリニックではその2倍、通常の体外受精を施行しています。私は患者様一人ひとり、何か合うかわからないという発想で、何でもできる体制にしています。その中から、一番良いと思うものを選択しています。ドクターそれぞれ考え方が違います。治療法も違います。  私は結果にこだわっています。すなわち、高い確率で早い妊娠を目指しています。しかし、ステップアップは無視していません。患者様一人ひとり、みんな反応が違うことを前提としています。  通常の体外受精は、毎周期やらなくても2周期で6割以上の方が妊娠しています。ドクターもいろいろです。いろいろ経験して下さい。


 以下は当院での説明書です

◆クロミッド(クロミフェン)採卵について

①方法と適応
 通常の体外受精卵巣刺激法(ロング法、ショート法、アンタゴニスト法、ER〔エストロゲンーリバウンド〕ショート法)以外で、クロミフェン(クロミッドーセロフェン) やレトロソール (レトロッツ)の内服薬に、HMG注射を少し加えた刺激で採卵する場合を、当クリニックではクロミッド採卵と呼んでいます。簡易体外受精とも呼ばれています。
 何も薬剤を使用しないで採卵する場合を、自然周期採卵と呼んでいます。自然周期採卵は、一時英国では妊娠率が低く患者様のメリットが少ないということで禁止されたことがありました(1周期あたりの妊娠率は、はるかに通常の体外受精の方が高いので、まず通常の体外受精を優先に治療を考えます)。
 そもそも当クリニックでのクロミッド採卵は、通常の体外受精でうまく卵が採れない人を対象にはじめました。卵がうまく採れないというのは、卵巣の機能が低下(年齢的に低下〔更年期に近い〕、卵巣の手術による機能低下、子宮内膜症による機能低下、体質〔遺伝子の異常等〕や病気による機能低下、早発閉経〔早発卵巣機能不全〕)等により、注射を多く打っても卵が育たない場合です。

 現在では、少し対象範囲を広げて次のような方をクロミッド採卵の対象としています。

◇卵巣機能が低下し、通常の体外受精卵巣刺激ができない方(注射で卵胞の発育がみられない)
◇通常の体外受精卵巣刺激はできても、成熟卵が2~3個しか採れない方(注射を多量に打ってもそれだけの効果がなく、注射の費用がかかり、患者さまへの経済負担がかかると考えられる場合)
◇通常の体外受精を数回繰り返しても妊娠できなかった方(刺激を変えることにより卵が質的に変化してほしい、という願いから刺激法を変えてみる)
◇PCO(多嚢胞性卵巣症候群)で卵ができ過ぎていつも全凍結になり、しかもその凍結受精卵融解胚移植で、数回の移植にも関わらず妊娠できなかった方


②クロミッド採卵のデメリット
 クロミッド採卵は、しばらく続けることになります。卵は通常80~85日、約3ヶ月かけて成熟します。卵巣機能が低下している場合、毎月刺激していないと卵の育ちが悪くなります(普通の卵巣機能の方はいつでも卵が発育しているので、いつでも採卵を開始できますが、逆に採卵で多数の卵を採るので、そのあとは刺激を休まなければいけません)。
 通常の採卵(ロング法、ショート法、ERショート法)では、排卵しないようにQRHアゴニスト(イトレリンーブセレキュア等の点鼻薬)を使用します。クロミッド採卵では、通常排卵前にHCGを打ち、約36時間後に採卵しますが、排卵の内因性反応(LHサージ)を抑えていないので勝手に排卵の反応が起こることがあり、場合によっては採卵前に排卵が起きていることがあります。直前にaRHアンタゴニスト(セトロタイド)を使用し、排卵を抑えることもできますが、間に合わない場合もあります。卵胞が大きくて12~24時
間後に採卵をしたこともありますが、結果はよくありません。
 採卵できそうな卵胞があっても、100%確実に卵が採れるわけではありません。卵巣機能が低下している場合、卵が採れてもすでに使用できない変性卵の場合もあります。
 以上のような理由により、クロミッド採卵では約20~30例にI例くらい排卵のために採卵できません。また、採卵できても受精卵が得られない場合もあります。


 妊娠率は男性には関係なく、女性の年齢にいちばん影響されます。体外受精では、一般的に40才を過ぎると妊娠率は数%に落ちてしまいます。
 月経周期3日目(生理中3日目)の血液検査でFSHやAMHを測定すると、ある程度卵巣の予備能力がわかります。

 胚移植後12日というより、採卵日を0日として15日目で妊娠判定します。胚移植は2日目から5日目までありますので、採卵を基準に考えて下さい。13日目だと血中のHCGが少し高くなり、14日目でも尿の検査で判る人もいますが、15日目あるいは16日目の尿検査で判定しています。15日で妊娠4週と1日です。
 妊娠していない場合、判定日までホルモンを使用していますので、その後2~3日で生理になります。

 ゴルフについてデータがありませんので、医学的にノーコメントです。
 実際は普通妊娠に気づく前のことですので、多くの人は妊娠を気にせずゴルフをしている時期と思います。一般的にゴルフで妊娠しにくいとか、ゴルフで避妊ということは聞いたことがないで影響ないと思いますが。

 普段の自分の生活でよいと思います。患者様それぞれジンクスというかこだわりがあって「これがよかった」「あれが悪かった」と思うようですが、医学的データで差のあるものは、ほとんどないと思います。

 普通の日常生活の範囲内なら全々問題ありません。要は卵ですので、あまり気にせずストレスなく過ごして下さい。
 アルコールは血流がよくなる少量までにして下さい。

 巣過剰刺激症候群になりそうな場合は、全受精卵凍結として移植しません。採卵後、症状がある場合は、移植を中止する場合もあります。その場合、卵の凍結は胚盤胞凍結となります。

 採卵日は昼ごろ帰宅していただいておりますが、静脈麻酔後ですので、ご自分で運転して帰宅するのは控えてもらっています。
 午後からの仕事は麻酔に強い人なら可能ですが、通常みなさんは休まれています。

 私のところでは、平均15~16個といったところでしょうか。
 ただし、個人差が大きく、4~5個から50個くらいまでの差があります。
 基本的に入院なしでやっていますが、早朝8時からの採卵ですので、前夜より1泊される方はいます。

 顕微授精の受精率は70%以上、受精した卵の90%くらいが卵割します。妊娠するかどうかはケースバイケースで、一番大きな要因は妻の年齢です。初回、20才代の女性なら1回で40%以上は妊娠できるでしょう。
 40才代ならせいぜい数%と思って下さい。
 何度もやって妊娠しない場合は、次回の妊娠率も低くなります。妊娠率に精子所見、男性の年齢は全く関係ありません。

 成功する確率は、妊娠しやすさで全々違います。20代なら40~50%、40代なら5%ぐらい、全平均でうちは35%以上です。もちろん妊娠しやすい人は1回ですぐ妊娠しますし、中には5回でもダメな人もいます。
 期待される妊娠率は女性の年齢や疾患等により、ひとりひとり違います。全平均が30%であっても1~2回で多くの人が妊娠し、何回かやっても妊娠できない人がいて平均がそうなるのであって、誰でも3~4回やれば妊娠するという意味ではありません。

 通常、不妊症治療1年半ぐらいで、体外受精するようにしています。不妊治療、たとえばタイミング、クロミッド、hMG、AIH等各々5~6周期のうちに妊娠できなければ、次のステップに進みます。
 半年以上同じ治療を続けてもあまり意味がないと思いますが、それはすべてうまく排卵しての話ですので、排卵できてなければ、治療周期と数えません。当院では、他院からの紹介や体外受精希望の方で適応があれば、すぐ体外受精をすることは可能です。

 当院では説明会を行っていますが、ひととおり説明するのに1時間はかかり、簡単に説明するのは難しいです。もともと体外受精は、体外受精以外の不妊治療で妊娠できない場合が適応されます。
 体外受精は女性から排卵誘発剤を使って卵をとって体外で受精卵をつくり、子宮にもどす方法で、費用は当院では体外受精だけで15~40万、薬剤費等で10万くらいかかります。成功率は女性の年令等により大きく違います。というのは1回で妊娠する人から、数回でもダメな人までいろいろです。常識的には1回で30~40%妊娠します。妊娠率はいちばん女性の年齢に依存します。
 リスクは特にありませんが、排卵誘発剤の副作用で点滴治療が必要な場合があります。



               
               
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