不妊治療に関するQ&A 不妊治療のQ&A 人工授精(AIH)編


人工授精(AIH)は、妻の排卵日あるいはその前日 (超音波検査やホルモン検査などから決定)に、夫の精液を洗浄・濃縮し、 元気の良い精子を子宮内へ直接注入する方法です。
 子宮脛内精子注入法(IUI)ともいわれ、運動精子の数や比率が少ない、 適切な性交ができない、タイミング指導で妊娠できないなどの場合が 適応となります。
 人工授精の妊娠率は1周期あたり7~9%、また人工授精で妊娠が できた人の殆どは5~6回以内、特に1~2回目で妊娠をしています。
 このため人工授精を5回行なっても妊娠できない場合は、 体外受精ヘステップアップをします。



 不妊治療は2年間位の間には妊娠しなければいけません。タイミング・排卵誘発・人工授精・体外受精(顕微授精)は各々だいたい半年位をめどに結果がでなければ、次へ進みます。
 不妊症の本当の原因はミクロの世界で起きている事ですのでわかりません。治療方法をステップアップし、その人にとって過剰でなく適した治療法で早く妊娠するよう適切に治療しなければなりません。
 一方、不妊治療だけでなく出産、育児はお金も時間もかかります。不妊治療は妊娠のためですので、あなたの人生において、あなたの貴重なお金や時間を何に使うのかよく考えて行動してほしいと思います。子供に使ってもったいないと思うのであれば不妊治療は続けられません。加齢により妊娠率は低下します。適切にステップアップし、早く結果に結びつく不妊治療を、手遅れにならないうちにして下さい。



 排卵するかどうかは予測できません。3回ともでなく1回排卵していますので、もう1~2回はAIHをやってみるべきではないかと私は思います。それで結果が出なければ、IVFを決断して下さい。

 IVFとAIHでは、大いに違うと思います。IVFは卵を採るので確実で卵の状態もよくわかります。妊娠率はIVFでは全国平均(これは全く患者さんの条件を無視した平均)で20~30%、AIHは6~10%ぐらいと言われています。
 AIHでは単角子宮の場合、対側の排卵時にはできないと思われます。AIHでは排卵したことはわかっても、卵の卵管内へのトラップ・受精・卵の良悪については全くわかりません。
 ただ、普通のIVFができなくて(FSHが高くて)クロミッド排卵となれば、もっと妊娠率は減少します。
 まだまだ卵巣に余裕があり、しばらくAIHする時間的余裕があるならAIHでもかまいませんが、問題は早発閉経の程度、FSHの値です。
 実際にどれだけ卵が育つかです。すでに赤ちゃんまで成長できる元気な卵がないかもしれない事を、私は心配します。
 卵巣機能の低下は遅らせることはできません。

 一般的には何も症状がないのが普通です。感染予防で抗生剤も飲んでもらっていますが、軽い腹膜炎の可能性もありますので、一度受診して下さい。

  便秘の薬等は、いつも通り使っていただいて結構です。当院では、センナエキスやセンナ、ダイオウ、オーレンなどの入った薬を使用しています。麻酔の前にお茶を飲むことはできません。注意して下さい。
 お酒は循環・血行がよくなる程度はよいと思います。ただ、飲みすぎないようにして下さい。また、煙草は「百害あって一利なし」厳禁です。

 AIH後はどうしても一部出てきますが、最初の5分の安静で、すでに卵管に元気な精子は行っているはずですので、その後出てきたものは関係ありません。


 昔、一時AIHを1周期に2回すると妊娠率が上がるという事がいわれた事がありますが、卵が受精可能な時間は数時間、という事がわかってきましたので、私は1回しかしていません。
 はっきり排卵のタイミングをつかむ事の方がより大切と考えています(2回料金を取るのも変な感じがします)。
 最近は2回AIHをしても妊娠率が上がらないという報告が多いと思います。


 体外受精の場合はhCG注射後、約36時間で当院では採卵しています。AIHの場合はそれほど厳密に時間を決めていません。通常、当院ではより確実に排卵させるため、hCGを前日に注射しています。
 AIHを施行するほとんどの場合は、クロミフェンーセキソビットーレトロソールにhMGを加えている周期が多く、自然のLHサージは起きにくくなっています。
 したがって、AIHより前に排卵する事はほとんどありません。また、精子は通常卵管内に入れば2~3日生存しているはずです。したがって当日は通常みていません。

 結論からいうともちろん大丈夫です。逆に3時間で運動率が下がるような精子は、体内で受精卵を作る力はなく、人工授精では妊娠できません。
 昔、精液を1時間ぐらいで持って来て下さい、と言っていた時代がありましたが、それは間違いで、あまり意味のない事でした。実際に2~3時間の間に運動率が悪くなる人もいましたが、私の十数年の経験の中で2~3人です。
 もちろん顕微授精でないと受精卵はできませんでした。私がアメリカで実験していた時は精子を洗浄し、机の上の試験管に入れておいて3日たって見ても元気に動いていました。普通の精子はそれくらいの運動能力はあります。

 洗浄・濃縮しないと雑菌や痛みの物質が多くその方が痛いはずです。
 私は大学の時からいつも洗浄していますので、洗浄していない場合と比較した事はありません。洗浄液というのは精子洗浄液がしみるという事でしょうか?普通の腔洗浄がしみたという意味でしょうか?より痛みを少なくし、きれいにするために、AIHでは精子洗浄をします、それより18回もAIHをやり続ける事がナンセンスです。

 人工授精の平均の妊娠率は7~9%ほどです。これは何回かやれば、誰でも妊娠できるという意味ではありません。
 人工授精で妊娠できる人はほとんど5~6回までに、特に1~2回で妊娠します。全体の平均で7~9%という事で人工授精では妊娠できない人もいます。
 人工授精までの治療では排卵しか確認できません。体外受精の場合は、受精と卵の良悪と発育までわかりますが、着床についてはわかりません。

 結果は至急の場合、1~2日でわかります。これは、最近つけ加えた項目で、今まで全員にやっていたわけではありません。
 夫婦なら今までに当然感染の機会はあったはずですので、予防というわけではありません。
 しかし、知らずに施行しているというのも不備ですので、この項目を増やしました。もちろん、分娩や手術の時などは全員必ず調べています。

 精液は、長時間そのまま放置するとだんだん運動率が低下します。2~3時間で極端に運動率が悪くなる精子は、もともと人工授精でも体内で受精卵を作る力が十分にないと思われ、朝に採った検体を夕方、あるいは夜に採った検体を朝に見ると、運動率が半分位になっていた経験はあります。
 正常なら精液を洗浄し、培養液中に入れて室温で置いておけば、2~3日経っても普通に精子が動いているのは、アメリカで実験していた時によく経験しました。
 体外受精で精子を卵子にふりかけても翌日受精卵にならないときの多くは、すべての精子の運動がとまっている時です。したがって、運動率が悪く、また時間の経過でどんどん運動率が下がる精液では、顕微授精でないと受精卵ができません。

 あまり痛みは関係ないと思います。痛みは、内子宮口を人工授精の管が通る時の痛みと思います。内子宮口のところでよく管がつかえます。
 そこのところで曲がっているためですが、その曲がりは膀胱の充満と関係あり、尿がたまっていると比較的まっすぐで入りやすくなります。
 液のもれはない方がよいですが、子宮内へ入れた精子の液が逆流してきたと思われます。多少、下へ流れ出る事は、あまり気にしなくてもよいと思います。
 卵管には、十分な精子が入っているはずです。AIHの結果と液のもれは、あまり関係ないと思います。出血も管が子宮頚管を通る時に少し粘膜とこすれて出血するもので、問題ありません。

 凍結融解すると運動精子数は40~50%くらいになります。1回のAIHは可能と思いますが、あまりおすすめではありません。

 他院の人工授精の成績は知りません。10回、それ以上行っているところもあります。当クリニックでは5回でステップアップを原則としています。
 成績は1周期あたり7~9%程度です。人工授精の痛みは管の入り方で決まります。当クリニックのAIHで、そんな痛い目にあった方はいるのでしょうか?私は、ほとんど鉗子を使わずに入れています。何せ毎日数人ずつ子宮内へ胚移植をしていますので、下手なら大変です。
 人工授精は、精子処理が施設によって大きく異なっていると思います。とにかく、当クリニックでは不妊専門で、それだけでやっていますので、それでダメとか下手とか言われては終わりです。
人工授精はもともと限界のある古典的治療で、当クリニックでは原則5回で、ステップアップした1回目の体外受精で6割以上の人が妊娠しています。人工授精では、ピックアップ障害と受精障害の山は越えられません。

 いくらでも原因はあります。
 例えば
 ・ピックアップ障害:排卵した卵子がうまく卵管に入れない
 ・受精障害:卵子と精子がちゃんとあっても受精卵ができない
 ・受精卵の状態:妊娠まで成長できる受精卵がない、体外受精で調べると10個受精卵ができると平均5~6個は染色体異常。10個中妊娠できる卵は、平均せいぜい1~2個のようです
 ・着床障害:子宮内膜に着床できない


 1回目がダメだった人が2回目を行うので、妊娠率はだんだん低くなります。逆にAIHで妊娠できた人の多くは、5回までに90%以上妊娠しています。ですから5回ぐらいでステップアップをしています。


 ご主人のストレスを解消するために、人工授精をおすすめします。あなたの排卵日にあわせ行ないます。そのため、あなたの方の排卵も確認でき、ご主人はストレスから解放されます。また、妊娠すればご主人はもとに戻るでしょう。まじめなご主人と思います。

 間をおくことは良い場合と良くない場合があります。非常に排卵しにくい人の場合は、AIHをしなくても排卵の刺激をしておいた方が来月、再来月のためによいと思います。排卵しやすければ、放っておいて3日目に受診して下さい。

 人工授精の適応の一つは性交障害ですので、最初からできます。性生活と子づくりは切り離して気軽に考えて、人工授精がよいかと思います。

 以下が当院の説明です。

①人工授精(配偶者間人工授精JAIH)は奥様の排卵日あるいはその前日に、ご主人の精子を洗浄濃縮し、子宮内へ注入する治療法です。


②以下の場合に行います
 1、運動精子の数が少ない場合(乏精子症)
 2、運動精子の比率が少ない場合(精子無力症)
 3、抗精子抗体陽性、あるいは性交後検査の結
   果が不良の場合
 4、適切な性交ができない場合
 5、排卵誘発治療中で、タイミングをしっかり
   合わせるため
 6、精液検査をかねて治療する場合
 7、原因不明で、長期に治療をしている場合


③超音波検査、ホルモンの尿検査、基礎体温等を総合して人工授精の日を決定します。


④当日は自宅でご主人に精子を採取していただき、その検体を持参して頂きます。精液の液状化を待って、精子をカウントし、洗浄濃縮をしますので、通常処理に約2時間程かかります。


⑤子宮内へ注入する操作で子宮頚管より出血することがあります。心配は要りませんが、ナプキンなどを用意し下さい。また、注入後軽い腹痛があることがあります。


⑥注入後は、そのまま約5分間安静にしていただきます。


⑦通常、3日間抗生物質を服用していただきます。


⑧人工授精は保険診療の対象になりません。自費で薬代も含め、約2万円必要です。


⑨感染症管理として、御主人のB型肝炎、c型肝炎、梅毒、エイズの検査(採血)が必要です。





               
               
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