不妊治療に関するQ&A 不妊治療のQ&A 検査編


不妊症の原因の多くは、複数の原因が、複雑に絡み合って 不妊という症状が形成されています。
 その為、不妊症の検査では精子の数、排卵の有無、卵管の通過性、 抗精子抗体の存在、排卵障害の有無等についてはわかります。 しかし、実際に排卵された卵子が卵管内に入り、 さらに精子と出会い、受精卵ができ、順調に発育し、子宮に運ばれて、 着床するという過程についてはわかりません。
 これらの検査で異常が見つかった場合は、それを改善しながら妊娠へ 向けての治療が進められていきますが、これらの検査で異常がなかった場合、 妊娠できる最低の前提条件が整っているということであって 妊娠が保障され、妊娠できるということではありません。



 「原始卵胞」があるかどうかを診断するには、腹腔鏡か開腹で卵巣の組織をとってプレパラートを作成し、組織学的に検査をする『卵巣生検』です。早発閉経は原始卵胞が早期になくなったもので、あまり診断的意義はないと思います。組織でわずかに残っていても卵胞として育たなければ利用できません。

 顕微授精専門家の私の意見では、この「精子のDNA検査をして結果が悪く、体外受精をあきらめる」という内容がよく理解できません。説明不足か誤解と思います。精子の中には異常な精子もありますが、現在の検査ではその割合は非常に低く、通常1%以下です。異常が多いとされる場合でも2~3%です。
 いろいろな事で異常があれば精子ができないのが普通で、精子にちゃんとなったものの染色体の異常は、極めて少ないと考えられています。
 染色体でロバートソン転座があったり、XXYのクラインフェルター症候群、また全不動精子となるカルタゲナー症侯群等においても、私自身は正常妊娠例を経験しています。
 ひと昔前なら「あきらめましょう」という染色体異常も、現在はなくなってきています。精子があるのにあきらめる意味が私にはわかりません。
 精子のDNAの傷つきの程度によって、顕微授精の結果が影響されるという研究もありますが、いろいろ異常があれば、途中までしかうまくいかず、自然淘汰され、うまくいっても流産になると思われます。

 精子や卵子が出合えないような癒着があれば、子宮卵管造影でわかるはずと思います。全身麻酔して行なっても腹腔鏡から得られる所見は少ないと思われます。
 AIHで妊娠できず、IVFで妊娠できた人の約8割がピックアップ障害、約2割が受精障害と私は考えています。

 抗精子抗体が陽性の場合、以前はふだんコンドームを使用し、抗精子抗体が高くならないようにし、AIHをするという治療法が一般的でした。
 体外受精ができる今では、体外受精の中の顕微授精で確実に受精卵を作ることができ、より確率の高い治療法となりました。今では最初から顕微授精と私は思います。

 私は基本的にフーナーテストを行いません。 しかし、簡単な検査ですので、希望があればいつでも行いますので申し出て下さい。  私が基本的に行わない理由は次の通りです。

1、フーナーテストの一番の目的は、抗精子抗体を推察することです。現在ではより精度よく、血液で不動化抗体をより正確に判定することができます。したがってワーナーテストのほとんどの目的をより正確に達成できます。


2、フーナーテストは、性交後検査です。性交後3~5時間ほどのうちに受診し、頚管粘液を採取し検査するものです。検査も400倍の顕微鏡で、何匹精子が泳いでいるかという本当に原始的なものです。排卵期でないとできません。頚管粘液の性状が良くないと、判定不能になる、本当にいい加減な検査です。私は名古屋大学で10年近くこの検査をしていましたが、実にいい加減で怪しい検査と思っていました。海外の論文でも、あまり意味がない、とする私と同じ意見のものが多くなってきたように思います。より正確な検査が出てきたのに、古い不正確な検査にこだわる必要はないと思います。


3、何よりもクリニック受診の3~5時間前に性交するということは、男性の立場からいうと、人権無視のひどいテストだと思います。朝、会社へ行く前に性交しろというのは私のようなナイーブな人間にとっては、なんと無神経な検査だろうと思います。案外女性は平気かもしれませんが、ひどい検査だと思いませんか?


4、しかし、私がフーナーテストを勧める人もいます。ご主人が協力的でなく、精液検査ができない場合には間接的に精液検査として、またなかなか性交機会のないカップルに、無理にでも性交してもらうときには「フーナーテストをやりましょう」と勧めることもあります。いかがでしょうか?
 私のポリシーのひとつに自分がされて嫌な事は患者様にもしない、ということがありま
す。嫌な事、痛い事、意味のない事(古い検査の中で今ではあまり重要でないことがいっぱいあり、検査も治療もどんどん変化しています)などに対しては、私は自分で判断してさけることにしています。


 不妊症専門のドクターの中にはフーナーテストが好きな先生もいます。専門が同じで  もこの不妊症の世界では、治療方針もいろいろです。患者様は自分の目でドクターを逆に評価するぐらい、勉強していただきたいと思います。それがドクターのレベルを上げることにつながり、日本の不妊治療全体のレベルアップにつながると思います。


 頚管粘液検査は、以下のような意味があります。
 排卵日近くになると子宮体部と腔とを結ぶ子宮頚管が水様透明な粘液で満たされます。精子は良好な頚管粘液の存在している時にだけ、子宮腔に進入できます。頚管粘液の量が少ない場合や、濁っている場合、粘稿性が高い場合には、精子が子宮腔に進入できずに不妊になります。
 15~20年位前まで、私はこの検査を行っていました。基本的に排卵日を知るひとつの手がかりになります。今のように経腔超音波で卵胞がはっきりわかるようになってからは、私には重要と思われません 昔は小さい注射器で粘液を吸い取り、それを乾かしてシダ形成を見て排卵が近いと言っていました。経腔超音波を使いはじめたのは17~18年前ぐらいです。
 頚管粘液は、卵胞ホルモンで変化します。体外受精の時は、ホルモン値が高いので大量に出ます。クロミフェン(クロミッドーセロフェン)を使用すると少なくなります。それを防ぐ為に卵胞ホルモン(プレマリン)などもよく投与します。
 子宮頚癌初期で子宮頚部を円錐切除された方は、全く頚管粘液がありませんので人工授精をします。クロミフェン療法のときも、人工授精と組み合わせた治療をよく行います。
 体外受精では、頚管粘液を出血なく上手に取り除くことが移植のコツのひとつになります。

 通常の診察時間内でやります。時間は実際、レントゲン室では10分ぐらいですが、いろいろと準備に時間がかかります。

 子宮卵管造影は、生理直後~生理がはじまった日から10日目ぐらいの間です。すぐその場では検査しませんので、生理中に予約した方がよいでしょう。

 ほとんど結果がわからない事はありません。一般の卵管造影がめちゃくちゃ痛いので、私は超音波卵管造影にしています。痛みは比較にならないほど少ないと思います。普通のエコー検査と同じ感覚でやっています。動けなくなる人は全くいませんのでご心配なく私は痛い事はきらいです。

 着床についてはわかりません。排卵後の高温期の子宮内膜および排卵のチェックのため診たのだと思います。受精卵は約0.1mm(120ミクロン)ですので、エコーでは見えません。
 妊娠反応が(古になって、その後5~7日目でやっと数ミリの袋(胎嚢)がみえて妊娠の確認できます。

 普通、排卵2日前ぐらいに超音波でみて、必要があればもう一度見て、排卵日を決定します。28日周期の方なら月経12日頃に検査します。排卵後は非破裂卵胞になっていないか超音波で再びチェックします。

 超音波で卵管の状態は、ほとんどわかりません。レボビストという造影剤を使って、超音波検査をすると卵管の通りはわかります。排卵と精子と卵管が最も基本的な検査です。
 他にも検査はもちろんありますが、今の3つが重要です。

 hMG注射中の卵胞発育のモニターは、血中のエストラジオール(卵胞ホルモン)を計っています。

 P4というのは、黄体ホルモン、プロゲステロンです排卵後は卵胞が破れたあと黄体になり、黄体細胞が黄体ホルモンを作ります。黄体ホルモンは、子宮内膜を着床しやすいように変化させ、妊娠成立後は妊娠維持のために働きます。
 したがって、P4が低いというのは黄体ホルモンが十分作られていない事を意味し、いわゆる黄体機能不全です。
 着床を促し流産を防ぐために、排卵後、黄体ホルモン療法・HCG療法を行います。

 できれば3日目の値がほしいと思いホルモンは3日目が基準になっています。2日~5日目でも一応大丈夫にしています。6日目はやめて下さい。

 排卵があるかないかは、超音波で何回かみて確認します。検査の時間はかかりません。
 卵管が通っているかは、子宮卵管造影で確認します。造影剤を流してレントゲン写真をとります。月経終了後から月経周期10日目頃までに施行します。超音波卵管造影を採用しており、容静時間はなく、すぐ終わります。
 ご主人は、精液検査が必要です。家でとって、検体を持ってみえる場合の方が多いと思います。30分くらい必要です。

 月経3日目は、血液検査だけです。場合により、生理3日目に超音波を見ることはありますが、主に体外受精の場合の卵胞チェックです。
 他の時期にも血液検査はあります。内診あるいは超音波検査は、排卵前後にします。あと重要な検査は、子宮卵管造影と精液検査です。子宮卵管造影はレントゲンを使い、子宮内に管を入れて検査します(現在は、痛みの少ない超音波卵管造影にしています)
 精液検査は容器をわたしますので、家で採取して持ってきていただければ結構です。

 血液検査

・クラミジア......感染症の有無を調べます

・抗精子抗体......精子に対する抗体が血液中にあるかどうか検査します

・LH‐RHテスト...脳下垂体の機能を調べるため血液中のホルモン値(プロラクチン・黄体ホルモン)を測定します

・子宮卵管造影...現在は、スクリーニング、痛みが少ない超音波子宮卵管造影でやっています。

他に、精液検査が必要です。しかし、誤解しないで欲しいのですが、自然妊娠できるかどうかの検査ではありません。自然妊娠するのに必要な最低条件の検査です。


 生理が始まって3日目ということです。つまり、生理中です(現在は生理3日目受診としています)。この時は採血のみで、診察は排卵前になります。自然妊娠が可能かどうかの最低限の必要条件は

①排卵のあること

②精子のあること

③卵と精子の出合いの場である卵管が正常であることです。


 これらが正常でも妊娠ができる保証にはなりません。




               
               
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