不妊治療をすると更年期が早まるんですか?

 そういうことはありません。卵がパチンコ玉みたいな変化しないもので、それがひとつずつ出てくると思っているのが間違いです。卵はなにもしなくても、どんどん減っていきます。不妊症は卵巣機能が悪い、更年期が早く来る人を対象としています。
 私か、不妊治療で一番大きなポイントだと思うことは、皆さんに、お腹の中の卵について正確な知識を持ってもらうこと。そして卵の重要性をよく認識してもらうことです。
 卵子と精子が受精して受精卵ができるところからすべてが始まる。これはだれでも知っています。でもその卵についてはかなり錯覚があります。まず、卵の大もと。原始卵胞'といわれるものは、女性がまだ胎児のうちにすでにできています。つまり皆さんが胎児としてお母さんのお腹の中にいるときから、皆さんのお腹の中の卵はすでにちゃんとできています。そして、いったんできたら、それ以降は細胞分裂して数が増えることができないという、非常に特殊な細胞です。ですから単細胞のまま、一度できたあとは数が減るだけです。
 原始卵胞は、妊娠5ヶ月から6ヶ月の胎児のころが一番多く、500万個とか700万個あるといわれています。ところが、「おぎゃあ」と生まれるときにはすでに200万個くらいに減って、思春期、つまり生殖年齢に入ったころは10万個から30万個~40万個くらいになっています。思春期以降は、Iヶ月に1000個くらい減るといわれています。つまり、毎日何十個も減っていくのです。
 一定年齢に達して生殖のためのプログラムが起動し始めると、この卵胞を刺激するホルモンが出はじめ、ホルモンの刺激を受けて、卵胞はだんだん成長・成熟して大きくなります。一番もとの原始卵胞からだんだん成熟して大きくなるのに、だいたい80~85日かかるといわれています。そして、中でも一番成熟した大きな立派な卵胞「主席卵胞」の中の卵子が、卵胞を突き破って卵巣の外に飛び出します。
 これが排卵です。主席卵胞の名の通り、最も優秀という意味です。残りはしぽんでいきます。こうして一生に排卵される卵は月に1個、一人の女性の生涯でせいぜい400~500個といわれます。卵子は、毎月卵巣の中で新しく生まれて成長するものと思っている人、月に1個しか卵を消費しないと思っている人は間違いです。また不妊治療で注射を打つと、副作用で卵が少なくなると心配する人もいますが、何もしなくても卵は毎日何十個も確実に減っているのです。

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